言論の自由も資本第一・アメリカが隠蔽する「自由の正体」

Meryl Streep, Director Steven Spielberg, and Tom Hanks on the set of THE POST. Photo Credit: Niko Tavernise.©Twentieth Century Fox Film Corporation and Storyteller Distribution Co., LLC.

 資本主義社会の中で「報道・言論の自由」もやはり会社経営・お金という問題は避けて通れない。

 スティーブン・スピルバーグ監督「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」には、ただ「言論の自由」というジャーナリズム vs 政府の戦いだけでなく、国家機密をスクープすることで 新聞社経営部 vs 機関投資家の間での葛藤があり、

大手新聞社も、資本主義社会の中で成立する一企業として描かれていることがこの映画のポイントだ。

それは現在のトランプ政権に対する、情報隠蔽体質、閉鎖型ナショナリズムを標榜している政府への直接的な批判ということだけでなく、いわゆる「ウォールストリート資本主義」の中で樹立しているマネー第一主義政権へのささやかな皮肉のメッセージでもあるのだろう。

いま2018年、この映画本編をアメリカ国民と外国人観客たちがどう見るかで、アメリカのこれからの方向を占える指標ともなるだろう。

それを感じるために観に行く映画である。

この作品が米アカデミー作品賞、(ノミネート中・2018年1月現在)を受賞するかどうか(つまり自虐史観を評価するか)でも、その道程はかなり見えてくる。

 アメリカ大統領が4代・30年間にも渡って隠し続けた国家の最高機密文書・ベトナム戦争をめぐる軍事行動の虚偽報告書類、それがペンタゴン(米国防省所在地)・ペーパーズだ。その文書を首都の新聞メディアで公表することになるワシントンポスト紙、その新聞社・編集部が舞台となる。1970年代、当時はまだ東西冷戦下。世界平和のため=核戦争勃発を防ぐために、政府による独断的な軍事的介入が、ある程度は必要であったとはいえ、自由を謳う国家の「報道・言論の自由」には、あってはならない隠蔽の歴史と言えるだろう。

やがて歴史の1ページに記される「自由の国アメリカが隠蔽しようとした情報公開・報道・言論の自由」。

 この後、20世紀の覇権を握り続け、憧れの自由な民主主義のイメージを強固にしてきたアメリカには、自ら反省しこの事実を堂々と後世に伝えていくことができるだろうか。あるいは、これは一義的な政治の汚点として、やはり「自由の国・アメリカ」をこれからも謳い続けていくのだろうか。

 欧州・ユーラシア・アフリカから自由を求めて、多くの移民たちによって建国されたアメリカが、20世紀の30年間をこのように情報公開の自由を押し殺し続けていたということを、この新聞が印刷した歴史の1ページが証明している。

©Twentieth Century Fox Film Corporation and Storyteller Distribution Co., LLC.      
「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」 2018年3月30日(金)全国ロードショー

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